木彫分館:大般若蔵─清造大日如来装蔵テーマ展

木彫分館:大般若蔵─清造大日如来装蔵テーマ展

Wood Sculpture Gallery-Mahavairocana Tathagata with Cache of Prajna Treasure
302 展示ホール

装蔵の発見

本尊である清朝に作成された大日如来坐像の主な構造は、夾紵(乾漆)技法であり、また金属生糸を巻き付ける手法で作られた頭冠、或いは絹の帯などの小物部品工法は精緻で、表面には金漆が施され、毘廬遮那仏の荘厳さを表しています。

本尊の造像を整理した当初、体内に装蔵があることを発見。且つ装蔵の状況は已に明らかに虫食い等の問題があった為、装蔵の全数を数えて、番号を付け、適宜な修繕を施すことにしました。

装蔵の内容は、経巻と織物の二種類に分かれています。いずれの経巻も黄絹と五色の糸で包まれ、像の底部から坐像の頸部に至るまで累々と安置されています。織物の靴や長靴は像の底部、或いはももの部分より出てきており、上着と毛織りの帽子は尊像の中央及び脇に置かれています。像体の中央上部には木製の軸柱があり、柱は五色の糸で縛られています。全ての装蔵物の周りには、全て香粉等の粉末が詰められています。

思いもよらない自性・照見「装蔵」の発見元朝の後から、中国の仏教造像は、チベット伝来仏教の勃興により、漢の地に仏教芸術の影響を及ぼしました。そのため装蔵の仏菩薩尊像は次第に多くなっていきました。

「装蔵」はチベット式仏事儀式と尊像の造立に対し、すこぶる重要な意義を有しています。例えば仏像装蔵を例に挙げると、仏像の身体は、一般的に仏、法、身等の舍利と経咒を備える必要があり、以て仏法僧参宝の殊勝緣起を顕彰しています。この他、仏像内の中央に立っている「主軸」の柱は、通常良好な木材を選りすぐり、生長の方向に沿って安置し、繁盛を祝願するのです。仏座の部分は一般的に宝、穀、露、薬、香、帛等の供養物をその中に収められました。一一緣起、各々相生じ、これにより完全な仏法界を象徴することを繰り広げています。「装蔵」は事相軌範教化衆生を表しています。仏法の興伝は、仏法僧の参宝を離れず、礼敬を尊重することは参宝の徳であり、どこまでも無限です。

本展示ホールの中央に端座しているチベット式大日如来像は、漢の地の仏教造像の中の法身仏と同じであると見なされております。像の姿は荘厳且神妙で、あたかも衆人に反観自性を諭し、人々が本来持つ如来の清淨徳相を見ているようです。傍らには仏像内の装蔵供養物が展示されており、当時の装蔵した人の切なる願いが込められています。まるで私たちを諭しているようです:一切の因縁は,相生じ相滅するものですが、自らが自性法身仏を見てこそ、あまねく照らす太陽のような大きな知恵を深く理解し、解脱と自在を得ることができるのです。

「何期自性本自清淨,何期自性本不生滅,何期自性本自具足,何期自性本無動搖,何期自性能生万法。」(なんと思いも寄らないことだ!自性は本来清浄である。自性は本来生まれも滅びもしない。自性は本来全て備わっている。自性は本来動揺しない。万法をうみだせる)私達たちは観仏相好し、仏の慈悲を賛美すると、時を移さずして全てが自性の仏を証見できるようになることを願っています。──人々は本来元々最も美しい「装蔵」を有しているのです。

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