時代書魂-歴代書法拓本

時代書魂-歴代書法拓本

The Spirit of the Brush - Calligraphy Rubbings Through the Ages
302D 展示ホール

漢字は中華文明を伝える媒体であり、書法は漢字芸術の造形表現です。漢字の出現によって中華文明は幕を開け、先秦時代の甲骨文字と金文に始まり、西周と戦国時代の大篆、さらに秦代の小篆と隷書など、漢字はその複雑な形態を簡略化させていきました。

教化の過程を経て文字に芸術性が生まれると、字体と芸術的表現が影響し合うようになりました。秦代の書の力強さ、漢代の気勢、晋代の風韻、唐代の謹厳な筆法、宋代の写意など、筆墨に込められた書家と時代の精神が紙上に踊り出し、各時代の文化的意識と審美感を伝えます。

曹全碑
東漢
185 C.E.
紙本拓本
186 cm
302D 時代書魂-歴代書法拓本
曹禅碑は後漢郃陽県の県令曹全を記念して立てられたもので、曹全の優れた人格や治績が記載されている。また、黄巾の乱についても触れているため、漢末における農民蜂起の研究に重要な史料を提供している。碑文の書体は八分隷。明代万暦年間に陝西郃陽の跡地から出土し、出土時間が比較的遅かったため、碑文の大部分が完全な状態で保存されていた。清代康煕年間に中央部が断裂。現在は西安碑林博物館に収蔵されている。曹全碑は漢代晩期の石碑に見られる秀麗でたおやかな書風を代表するものであり、書家の間で極めて重視されている。
厳秦立碑

779 C.E.
紙本拓本
182 cm
302D 時代書魂-歴代書法拓本
顔勤礼碑は顔真卿が七十一歳のとき、曽祖父の顔勤礼のために建碑したもの。一九二二年に長安旧蕃廨跡地から出土し、断裂しているものの文字はほぼ完全に保存されており、晩年の成熟した顔書である。書風は円筆で篆意があり、力強く重厚。全体的に盛唐の気風を呈し、雄渾かつ優雅であり、規律のある荘重な趣である。力強く濃密でありながら、剛健な中にも典雅な趣を失わず、豊かな筆意と堂々とした気勢はまさに入神の域である。
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