古冀遺風-漢白玉仏教造像

古冀遺風-漢白玉仏教造像

The Legacy of Ancient Ji - White Marble Buddhist Sculpture
202C 展示ホール

古く冀州(現在の河北)は太行山以東の平原に位置し、漢代より経済や文化が発展してきた地域でした。仏教は後漢晩期にすでに中国に伝わり、道安や仏図澄などの高僧がこの地で弘法するなど、冀州の仏教の歴史は悠久です。

「古冀遺風」では東魏から唐・宋時代にかけての漢白玉を素材とした造像を展示しています。薄衣をぴったりと身に着け、ずんぐりとした東魏の彫像、丸みを帯びた体躯と簡素で洗練された衣文線が特徴の北斉彫像、新風が吹き込んだ唐代の作品など、漢白玉造像の各時代における発展と変化をご紹介します。

三尊仏造像
北斉
550-577 C.E.
漢白玉 かんぱくぎょく
145 cm
202C 古冀遺風-漢白玉仏教造像
歴代の河北仏教造像では、曲陽の定州系と臨漳の鄴城系の造像が最も優れています。大型で、石質は潤沢、彩色や金箔を全体に施し、超絶した技術です。主尊のブッダはすらりとした体つき、脇侍菩薩は瓶と蓮の花を持ち、宝冠をかぶり、瓔珞を着け、慈悲的な容貌で、精緻に彫刻されています。二つ菩提樹の下には二頭の竜が刻まれ、口に蓮の花を噛み、舞台のように生き生きし、まるでブッダが衆生に説法しているようです。菩提樹の葉が六つに分けられ、大乗仏教の六波羅蜜を象徴しています。百八枚の菩提の葉は煩悩即菩提の意味をしています。後ろには二人の羅漢が彫り付けられ、大乗と小乗仏教を表と裏で表現されています。この北斉時代の漢白玉三尊仏造像は古代漢白玉造像の傑作です。精巧な彫刻、緻密な構造、巧妙な発想、図像と教理が完璧に融合し、六世紀の河北地域造像の技術の高さをうかがえます。
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