古道遺韻-インドの仏教造像
古道遺韻-インドの仏教造像
Ancient Splendor from India - Indian Buddhist Sculpture
102C 展示ホール
インドは古くは天竺と呼ばれ、仏教と仏教芸術の発祥の地です。偶像のなかった時代から、ガンダーラ王国、グプタ朝、パーラ朝など各時期における発展を経て、多様性を受け入れた造像が生まれ、後世の仏教造像のひな形となったばかりでなく、大法が東へ伝わるとアジアの仏教文化圏にまでその影響力を広めました。
本展示ホールは主にインド早期におけるガンダーラの石彫や青銅像、グプタ朝のマトゥラーやスワートの造像などを展示し、北西インドの仏教造像の特色をご紹介します。

菩薩立像
ガンダーラ
三至四世紀
頁岩 けつがん
158 cm
102C 古道遺韻-インド仏教造像
三至四世紀
頁岩 けつがん
158 cm
102C 古道遺韻-インド仏教造像
足にはサンダルを履き、方形台座に立ち、穏やかでたくましい表情をし、菩薩は衆生済度のために尽くし、理想の大乗仏教精神が表されます。逞しい体に条帛を優雅に掛け、アポロンのような美男子の輪郭、気品に富み、貴族的な風貌をしています。頭部には取り外せるターバン冠飾をつけ、波打つ豊かな髪を頭の上で結い上げ、獅子の形の耳飾りをつけます。白毫には恐らく昔に宝石が嵌め込まれ、胸元にはバラモンを象徴する胸飾りをつけ、精細を極め、装飾性に富んでいます。また、手の腕釧と臂釧、ガンダーラ美術の特徴が十分に表されています。本像はフランスのギメ東洋美術館に所蔵されるマルダン菩薩立像とかなり似ています。ガンダーラは古代仏教芸術の重要の発祥地で、この地域の仏教彫刻においてはギリシア美術の影響を受け、そして、シルクロードに沿う仏教地域に重大な影響を与えたと考えられてきました。
