釈迦本懐-教理と図像

釈迦本懐-教理と図像

The Buddha's Intention - Teachings and Images
101C 展示ホール

『法華経』には次のようにあります。

「諸仏世尊はただ一大事の因縁のためにこの世に現れた」
「一大事の因縁」とは、衆生に仏知見を示し、衆生に仏知見を悟らせることです。仏の知見とは諸仏実相であり、そのために諸仏世尊はこの世に現れたのです。

三千年前、釈迦牟尼仏はインドで修行と伝道を行い、鹿野苑で初めて仏法を説いてから娑羅の樹林で入滅するまで、四十九年間にわたり無上の妙法により人々に教えを説き続け、衆生が苦しみから離れ幸せを得、菩提を成就することを願いました。仏教芸術は図像を通じて教理が伝えんとすることを示し、それは即ち釈迦の本願を伝え弘めることです。すべての観覧者が、相ある芸術の美しさから世尊がこの世に出現した一大事の因縁を悟り、本来誰もが備える相なき般若の知恵を開顕されますように!

法界人中像
北斉
550-577 C.E.
石灰岩
53 cm
101C 釈迦本懐-教理と図像
法界人中像は華厳経の教主盧遮那仏であるとされる。盧遮那は「浄満」と訳され、「光明遍照」を意味する。「法界人中像」は「遍一切処」や「光明遍照」の意を備えると同時に「法界諸法」の理をも説いている。この立像は全体に色彩画が施され、一部に金が残っている。体に描かれているのは六道衆生の情景や仏伝故事であり、青州系統の華厳教理に基づく法界人中像であると思われる。教理と図像が結合した、仏教芸術の特色を存分に表した作品と言えよう。
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