2017/03/04 黄檗家の伝統 - 日本黄檗禅師による書画特別展と教育活動

2017/03/04 黄檗家の伝統 - 日本黄檗禅師による書画特別展と教育活動

展示室には、日本黄檗宗の開祖である隠元龍基禅師をはじめ、師である費隠東朗禅師、慕安祖涛禅師、雪峰済菲禅師など8人の祖師による書画27点が展示されています。会期中は、ガイドツアー、講演会、茶道実演などの教育活動も行われ、来場者は歴史、文化、日常生活など、多角的な視点から仏教美術をより深く理解し、海を越えて仏法を広め、衆生を救済しようとした歴代の祖師たちの願いを理解することができます。

2016年8月に完成した中台世界博物館は、開祖魏覚安公尊の「芸術を通して世界を変革し、人々の心を浄化する」という大志を受け継ぎ、仏教芸術の振興に積極的に取り組んでいます。特別展や講演会など、多様な活動を通して、人々に仏教芸術の美しさを体感させ、本来持つ清らかで慈悲深い心を育んでいます。

2017年3月4日から4月9日まで、「黄檗宗家伝来 ― 日本黄檗禅師書画特別展および教育活動」が開催され、日本黄檗禅宗の開祖である隠元龍奇禅師をはじめ、師である飛銀同栄禅師、慕安星涛禅師、雪峰吉飛禅師など8人の祖師による書画27点が展示されました。会期中は、ガイドツアー、講演会、茶道実演などの教育活動も行われ、来場者は歴史、文化、日常生活など、多角的な視点から仏教芸術をより深く体験し、歴代の祖師たちが海を越えて仏法を広め、衆生を救済しようとした志を理解することができました。

黄檗の徳と知恵は日本に利益をもたらした

黄檗宗は日本仏教の一派です。明代、隠元龍齊禅師は密雲元武禅師と飛銀同栄禅師から臨済宗の系譜を受け継ぎ、福建省黄檗山で広く布教を行いました。1654年、長崎興福寺の4度目の要請を受け、弟子たちを率いて日本に渡り、仏教を広めました。1661年、京都黄檗山に萬福寺を建立し、これが後に日本における黄檗宗の成立につながりました。隠元禅師が日本を訪れた当時、日本の仏教は衰退期にありました。隠元禅師と弟子たちは、明代末期の臨済宗の禅と浄土教の融合した修行、そして念仏の儀式を日本に伝えました。彼らはまた、戒律を制定し、日本の仏教に大きな影響を与えた「黄檗行則」を制定しました。同時に、中国の書道、絵画、建築、彫刻、そして食文化を日本に導入し、江戸時代の社会生活に新たな文化現象を生み出しました。日本の学者たちはこれを「黄檗文化」と呼んでいます。

黄檗派の禅師たちの書は、歴史を通じて精緻で美しく、「黄檗派」として知られています。中でも、隠元龍麒禅師、慕安星涛禅師、雪峰継菲禅師は、その大きな字と力強い筆致で知られ、「黄檗三筆」の異名をとっています。本特別展では、隠元禅師の行書「徳は宇宙に遍く」、慕安禅師と継菲禅師の行楷書「五花一花、果は自然に熟す」、そして慕安禅師の行書「香花三千世界」を展示します。文字が大きく力強く、筆致が調和しており、「黄檗三筆」禅宗の精神が存分に表現されています。歴代の祖師が書いた禅の教えや指示を記した墨跡には、行間に禅の魅力と慈悲の心が表れています。観音菩薩像や達磨像の水墨画は、写実的なものから遊び心のあるものまで様々で、菩薩の慈悲深い誓願の伝承と、縁のある人々を広く救済するという大乗の精神を描き出しています。

道教の黄檗派の祖師たちの簡単な紹介。
「特別講演会」では仏教美術の多様な体験を豊かにします。
展示ホールは枯山水庭園で丁寧に装飾されており、静かで優雅な雰囲気を醸し出しています。


芸術の世界:多様な体験

黄檗宗の歴史と文化への理解を深めるため、特別講演会が複数回開催され、300名を超える参加者が集まりました。3月11日午後2時30分からは、中台男子仏教学院専任教授の施建茂法師が「日本臨済宗の継承、開祖――日本における黄檗宗」と題した講演を行いました。3月18日午後2時30分からは、国立台湾大学日本語文学部教授で日本研究センター所長の徐興静教授が「宗門の精神と雨――黄檗宗が日本文化に与えた影響」と題した講演を行いました。徐教授は、隠元禅師が弟子たちを率いて日本に渡り、仏教を広め、日本における黄檗宗の成立に至った歴史的背景について解説しました。また、黄檗宗の師たちの書画の特徴を紹介し、黄檗文化が日本の書道、絵画、建築、普茶料理、煎茶道に与えた影響について説明し、黄檗宗が日本仏教と文化交流に与えた歴史的意義を一般の人々に理解してもらいました。

3月26日午前10時30分、中央研究院中国文学哲学研究所研究員兼副所長の廖昭恒教授が招かれ、「日本における明清仏教――黄檗派の生活情緒と文化表現」と題する講演を行いました。廖教授は、明代末期の仏教復興について詳しく説明しました。この時期には多くの高僧が輩出され、経典の印刷・普及、僧院規律の復興、寺院の建立・復興が促進されました。中でも、文学、芸術、医学、工芸といった分野においてそれぞれ独自の強みを持つ禅僧たちは、日本での布教活動を通して文化交流を促進し、江戸時代の日本の文化を豊かにし、慈悲と救済という仏教の理念を体現しました。

4月1日午後2時30分、故宮博物院南部院区の黄雲如研究員が招かれ、「日本の煎茶文化」と題した講演を行いました。黄研究員は、日本の茶文化は中国に起源を持ち、歴史的変遷を経て貴族階級から一般大衆へと徐々に広まったと説明しました。17世紀、隠元禅師は日本に渡り、中国南部の茶の文化と茶器を伝えました。その後、日本の黄檗禅僧が禅の精神を煎茶の湯に融合させ、日本の煎茶の湯が誕生しました。その後、茶を愛でる文人、芸術、詩歌、絵画といった洗練された嗜好と融合し、煎茶文化にまつわるゆったりとしたライフスタイルが生まれました。

日本の煎茶道は、黄檗禅師隠元禅師を開祖と尊んでいます。今回の特別展では、日本煎茶道方縁流台湾支部長であり、中国方縁流茶文化協会初代会長の蔡玉才氏、日本煎茶道美沙真流台湾道場師範であり、真在香学研究所創設者の柯延燕氏をはじめとする茶人の方々を招き、日本の煎茶道の実演を行いました。来場者は、お茶を味わい、茶道の美学と作法を体感し、「禅茶一体」の清らかな味わいを体験することができました。

仏教芸術は、歴史を通して、歴代の祖師たちの弘法と教えの啓蒙という慈悲深い志を体現してきました。また、衆生を三宝との法縁へと導くための便利な手段でもあります。中台世界博物館の特別展「黄檗家の伝統」では、この仏教の教えを体現する芸術の饗宴を通して、皆様が古人の叡智を学び、精神世界を豊かにされることを願っています。

「煎茶展」では、一般の方々にお茶を味わい、禅と茶の融合を体験していただきます。

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